ただいま幕張で開催中の恐竜博に行って参りました。

昔から恐竜好きな私は恐竜博が開催される度に行っていましたが、今回はちょっと期待度が違います。
何しろスピノサウルスの全身骨格ですよ!しかも全長17mもあって、ティランノサウルス(発音的に「ン」が入るのが正しいらしい)より4mもデカい!
コイツは映画「ジュラシックパーク3」の主役を張って登場した背びれのステキな肉食恐竜で、主人公たちを散々追いかけ回し、ティランノサウルスと一騎打ちを演じて見事打ち勝った、イスラ・ソルナ島の暴君です。
映画では獰猛な肉食恐竜として描かれていましたが、実際には鷺みたいに川の中に立って魚を捕らえて食べることが多かったようです。長い口や手のカギヅメもそのための適応なんだとか。
JP3のパンフの恐竜解説ページで、これまでティラノと同クラスとされていたが、業界内の噂では実は推定17mもある個体がいた事がわかり、その復元を進めているらしいという記事を見て以来、その復元骨格を見るのをずっと楽しみにして来ましたが、ついに念願叶ったわけであります。



これが17mのスピノサウルスの全身骨格。とはいえ実際の化石は使用されておらず、すべてのパーツが科学的根拠に基づいて製作された精巧な骨格模型です。
ティランノサウルスなどと比べると骨が細かったり、長い首や頭とあいまってやや華奢な感じでしょうか。
でも背骨から伸びる棘突起が自己主張していてボリュームがあります。頭から首、背中へつながるラインが非常に美しいです。



そしてこれは、本物の骨が一部使われた全身骨格。大人になりきる前の亜成体だそうで、上述の模型よりだいぶ小さいです。



こちらは17mの生体復元模型。かなりデカいです。しかも食事中。ご丁寧にぶつ切りにされた魚の模型も置いてあります。


で、スピノサウルスもいいんですが、今回の目玉は何と言っても巨大なマメンキサウルス!
マメンキサウルスっていろんな恐竜博とか博物館でよく見かける、体の割にやたらと首の長い竜脚類ですが、全長35m…?
首の長さが16.9mって、それだけで普通の個体ぐらいあるじゃないすか!?
こんなデカい個体がいたとは初耳です。
駅でチラシをもらって何気なく読んだら、たまげました。
なんていうか、こいつと一緒の群れにいたやつって、毎日マクロスゼントラーディ人と一緒に暮らしてるような気分を味わっていたんじゃなかろうかと思えて来ます。



長すぎて全身を写真におさめるのが一苦労。横からなんてとてもムリで、尻尾側から離れて撮ってやっとファインダーに収まりました。



ヘビみたいに長い首ですが、実際には昔の復元みたいに鎌首をもたげる事は出来ず、首のじん帯が付く骨が短いので可動範囲も狭かったらしいです。
首を水平より少し下げた状態がデフォルトで、その状態のまま体ごと左右に回転して最小限の移動で広い範囲の植物を食べたんだとか。寝転がりつつちゃぶ台からおやつを取って食べてるみたいで、かなりぐうたらな気もしますが、それがこの生き物をここまでデカくした要因らしいです。



あとは草食恐竜のミイラ化石。この個体は発見された土地名から「ダコタ」と呼ばれています。
骨格の凹凸に沿って表皮が立体的に残された化石で、とても珍しいものです。
モザイクみたいな鱗の形がよくわかります。尻尾の部分なんかは皮膚のしわとかまで確認出来て、結構生々しいです。



これは後ろ足のひづめ。馬とか牛を思わせる角質の質感がそのまま残されています。



生きていたときはこんな感じの姿だったようです。



これはギガントラプトル。近縁種の平均と比べて数倍もある、大型の種類です。
となりにこのたぐいの代表的な恐竜であるオヴィラプトルの骨格が置いてありましたが、大きさが全然違います。見た目は類似していますがプロポーションは首が長くて頭が小さいなど、違いはある気がします。
今回は鳴り物入りって感じのタイトルじゃないのに、やたらデカい種類の恐竜ばかりです。



こちらはエドモントニアという鎧竜。がっしりした体つきの草食恐竜で、まるで生きた装甲車といった風貌がカッコイイです。


今回は生体復元模型にも力を入れているようで、スピノサウルス以外にもいろいろ見応えのあるやつがあります。



ティランノサウルス対トリケラトプス
恐竜博では必ずチョイスされるシチュエーション。このカップリングの人気は、もっとすごい恐竜が続々発掘されても不動のようです。
ティランノサウルスの命名からCTスキャンに至るまで、その研究史を扱ったコーナーがありました。



こちらはその中央に置かれた、これまでに発掘された頭骨がリング状にズラリと並ぶ展示。圧巻です。
ティランノサウルスは同じくらい大きな肉食恐竜と比べてもずっと骨太で、ガッシリしています。
頭骨は曲線的な造形で、湾曲した上顎なんかブルドッグを思わせていかにもパワフルなイメージを抱かされます。



こういった力強い造形がこの生物に堪らなく惹かれる要因なんでしょうかねぇ。


近年の恐竜博で思う事は女性客の多さ。
カップルだけでなく女性のみの二人〜三人組で来場する方々が結構いました。
骨格の前でピースして写真撮ってる女子高生とかもいて、微笑ましいです。
そうした女性客からは復元模型や動画を見ていて、可愛いと言っているのがよく聞こえました。
10年前なら、女の子が恐竜を見てそんな事言ってたら下手すりゃ変態扱いされかねない空気がありましたが、時代も変わりましたね。



その評価は羽毛を付けた復元や動物としての正確な姿形、頭から尻尾に流れる美しいラインなどから来るものでしょうか。



昔のイメージのように奇怪で凶暴な爬虫類といった、だいぶ短絡的な固定観念がやっと払拭されつつあるのかもしれないですね。



単に各恐竜の説明がなされているだけでなく、当時の環境や恐竜の骨とともに発掘された他の生き物などについても展示、解説してありました。
また、発掘調査の様子やエピソード、長きにわたって研究されて来た様々な恐竜の復元や分類方法の変遷、今も発掘・研究に携わっている研究者の方々の写真及び略歴が書かれた実物大?の立て看板なんかも置いてあり、単なる恐竜紹介にとどまらず、科学的な観点からその驚異の生態に迫る構成となっていて見応えがありました。
パンフレットをよく読むと、分類方式とか恐竜の定義なんてのも以前とはだいぶ変わっていて驚きました。こういうのも研究が進むにつれて変わっていくもんなんですね。

「恐竜2009砂漠の奇跡」は9月27日まで幕張メッセにて開催中です!